オートレースのフライングとは？ルールや罰則を詳しく解説

オートレースでは、スタートのタイミングが重要な要素の一つです。

しかし、時には選手が早く発進してしまい、「フライング」と判定されることがあります。

フライングはレースの進行に影響を与えるだけでなく、選手にとっても罰則の対象となるため注意が必要です。

本記事では、オートレースのフライングの定義や発生条件、スタート方式や判定の仕組み、さらにフライングが起きた際の対応について詳しく解説します。

また、フライングの影響や選手が取るべき対策についても紹介しますので、オートレースのルールを深く理解するための参考にしてください。

オートレースのフライングとは？

フライングの定義と発生条件

オートレースにおけるフライングとは、スタートの合図が出る前に発進してしまうことを指します。これは、選手がスタートのタイミングを誤った場合や、過度に前のめりになってしまった場合に発生します。

フライングの定義

オートレースでは、発走合図機という機械がスタートのタイミングを管理しています。
この機械が「0秒」を表示する前にバイクが動き出すと、フライングと判定されます。

また、発走合図機が故障した場合は、手旗を使って手動でスタート合図が出されます。
この場合も、手旗が振られる前に発進した場合はフライングとみなされます。

フライングが発生する主な原因

フライングは、選手の心理的な焦りや技術的なミスによって起こります。
以下のような要因が考えられます。

• スタートを有利に進めるため、早めに動き出してしまう
• クラッチ操作のミスにより、無意識にバイクが動いてしまう
• スタート合図を見誤り、誤って発進してしまう

これらの理由により、オートレースではフライングが発生しやすい状況が生まれます。
ただし、発走合図機には赤外線センサーが搭載されており、細かく監視されているため、フライングが見逃されることはほとんどありません。

スタート方式とフライング判定の仕組み

オートレースのスタートは、特有のルールと判定方法によって管理されています。
フライングが発生しないよう、厳格なシステムが導入されています。

オートレースのスタート方式

オートレースのスタートは、主に「オープンスタート方式」で行われます。
この方式では、選手が一列に並び、スタートの合図と同時に発進します。

スタートの合図は、以下の方法で示されます。

• 発走合図機（スタートシグナル）

  • スタート位置に設置された機械が「3秒前」からカウントダウンを開始
  • 「0秒」になると同時に発進可能

• 手旗合図（機械の故障時）

  • 競技員が手旗を振って合図
  • 旗が振られる前に発進するとフライング

フライングの判定方法

フライングは、スタートラインに設置された赤外線センサーによって判定されます。
このセンサーが選手の動きを正確に検知し、以下のように判定されます。

状況	判定
0秒前に発進	フライング
0秒以降に発進	正常
スタート合図が出た後に遅れて発進	出遅れ

また、機械の誤作動を防ぐため、フライングの判定には審判員の目視も加えられています。
これにより、不正なスタートや微妙な判定ミスを防いでいます。

フライングが発生した場合の対応

オートレースでは、フライングが発生した場合の対応が明確に決められています。
基本的に、フライングが発生するとレースはやり直しとなりますが、回数によって異なる対応が取られます。

フライング1回目

• そのまま再発走（スタートのやり直し）
• 予選・準決勝戦でのフライングは着順は有効
• ただし、優勝戦への出走資格を失う（失権）

フライング2回目

• 同じ選手が2回目のフライングをすると「出走停止」となり、レースに参加できなくなる
• この場合、その選手に関する車券は全額返還される

フライング3回目

• 3回目のフライングが発生した場合、全選手がピットへ戻り、車体検査が実施される
• 検査終了後、再発走

フライング4回目

• 1レース内で4回フライングが発生すると、レースが不成立となる
• その場合、すべての車券が返還される

このように、フライングの回数によってレースの対応が異なります。
選手はペナルティを受けるだけでなく、レースの進行にも影響を与えるため、慎重なスタートが求められます。

フライングが起きた際のレースの進行ルール

1回目のフライングの対応

オートレースでは、1回目のフライングが発生しても、すぐに失格にはなりません。
基本的に、スタートのやり直し（再発走）が行われ、レースを成立させるための対応が取られます。

1回目のフライング時の対応

1回目のフライングが発生した場合、大時計の赤ランプが点滅し、観客にもフライングがあったことが伝えられます。
その後、レースの進行を一時中断し、すべての選手がスタートラインへ戻ります。

再発走時は、最初のスタートと同じ条件で行われますが、フライングをした選手にとっては精神的な負担がかかります。
特に、スタートのタイミングを意識しすぎると、次のスタートで遅れを取ってしまう可能性があるため、慎重な対応が求められます。

予選・準決勝戦でのフライングの影響

予選や準決勝戦で1回目のフライングをした場合でも、レースが成立すればその選手の着順は有効です。
しかし、仮に1着でゴールしたとしても、優勝戦へ進むための「勝ち上がり権利」を失うことになります（失権）。

つまり、レース自体には残ることができても、次の重要なレースに進めなくなるという影響があるため、選手にとっては大きなリスクとなります。

優勝戦でフライングをした場合

優勝戦で1回目のフライングをした場合も、レースがやり直されます。
再発走後に1着を取れば、そのまま優勝扱いとなりますが、後日ペナルティが課される可能性があります。

2回目以降のフライングでの処置

1回目のフライングでは再発走となりますが、同じ選手が2回目のフライングをすると、さらに厳しい対応が取られます。
このルールは、公平なレース運営と過度なフライングの防止を目的としています。

2回目のフライング時の対応

同じ選手が同じレース内で2回目のフライングをすると、その選手は「出走停止」となります。
つまり、その選手はレースに参加できなくなり、事実上の失格となります。

また、出走停止になった選手に関連する車券は、すべて購入者に返還されます。
これは、フライングによってレース結果が大きく変わる可能性があるため、購入者の保護を目的とした対応です。

2回目のフライングが選手に与える影響

出走停止となることで、そのレースでの成績は無効となります。
また、次のレースにも影響が及ぶ場合があり、特に重要なレースではフライングを避ける慎重なスタートが求められます。

選手にとっては、2回目のフライングをしないことが非常に重要であり、スタート時のプレッシャーがさらに高まる要因となります。

3回目のフライングが発生した場合

3回目のフライングが発生すると、すべての選手がピットへ戻され、車体検査が行われます。
この対応は、マシンに異常がないかを確認するための措置であり、公平なレースを維持するために必要なプロセスです。

4回目のフライングでレース不成立となるケース

オートレースでは、フライングが何度も続いた場合、レースの進行自体が困難になることがあります。
そのため、1レース内で4回のフライングが発生すると、レースが「不成立」となります。

4回目のフライングが発生した場合の対応

1レース内で4回のフライングが記録された時点で、レースは打ち切りとなります。
この場合、すべての車券が無効となり、購入者には払い戻しが行われます。

なぜ4回目のフライングでレース不成立になるのか？

フライングが繰り返されることで、レースの公平性が損なわれる可能性があるためです。
また、選手の集中力が途切れたり、レース自体の運営に支障が出ることも考えられます。

レースを成立させるためには、スタートの安定性が重要となるため、過度なフライングはレース運営側にも大きな影響を与えます。

4回目のフライングを防ぐための対策

このような事態を避けるため、選手は以下の点を意識することが求められます。

• スタートのタイミングを慎重に見極める
• クラッチ操作を安定させる練習を積む
• 予選や準決勝のレースでフライングをしないよう注意する

また、レース運営側も選手に対して適切な指導を行い、フライングを未然に防ぐ取り組みを強化しています。

このように、オートレースではフライングに対する厳格なルールがあり、特に4回目のフライングではレースそのものが不成立となるため、選手は慎重なスタートを心がける必要があります。

フライングした選手への罰則とペナルティ

フライング時の罰則内容と適用条件

オートレースでは、フライングが発生しても即失格とはなりませんが、ルールに基づいた罰則が科されます。
罰則の内容や適用条件は、フライングの回数やレースの種類によって異なります。

フライング時の基本的な罰則

フライングをした選手には、以下のような罰則が適用されます。

フライング回数	罰則内容
1回目	レースの再発走（スタートのやり直し）
2回目	そのレースでの出走停止（失格）、車券の返還
3回目	車体検査を実施した後、レース再発走
4回目	レース不成立、すべての車券が返還

なお、1レース内でのフライングだけでなく、過去のレースでのフライング回数も累積され、一定回数を超えると追加の罰則が科される場合があります。

罰則の適用条件

フライングの罰則は、以下の条件に基づいて適用されます。

• レースの種類（グレードレースか一般レースか）
• フライングの回数（過去の累積回数も考慮される）
• 競走中の状況（他の選手に影響を与えたかどうか）

また、特定のレースでは、フライングがその後の出場資格に影響を及ぼすこともあります。
特に重要なレースでは、罰則が厳しくなるため、選手は慎重なスタートを求められます。

グレードレースと一般レースでの違い

オートレースには、「一般レース」と「グレードレース」があり、フライング時の対応や罰則に違いがあります。
特に、グレードレースの優勝戦では、厳しいペナルティが科されるため、選手はより慎重なスタートを求められます。

グレードレースとは？

グレードレースは、競走の格付けが高いレースのことで、以下の種類があります。

• SG（スーパーグレード）レース：最も格式が高いレース
• G1（グレード1）レース：SGに次ぐ高ランクのレース
• G2（グレード2）レース：G1よりも下位のレース

一方、これらのグレードに属さないレースは「一般レース」と呼ばれ、フライング時の罰則も異なります。

フライング時の罰則の違い

グレードレースと一般レースでは、フライング時の対応が以下のように異なります。

レースの種類	フライング時の罰則
一般レース	1回目は再発走、2回目で出走停止
G2・G1レース	フライングすると翌日のレース出走が規制される
SG優勝戦	フライングすると次節のレースがすべて出走停止、さらに翌年の同SGレースへの出場資格を失う

特にSGレースでは、フライングによる影響が大きく、翌年の大会に出場できなくなる可能性があります。
そのため、選手はより慎重にスタートを切らなければなりません。

選手にとっての影響

グレードレースでのフライングは、選手のキャリアにも大きく影響を与えます。
特にSGレースは賞金額も高く、優勝することで大きな実績を得ることができますが、フライングによって出場停止となると、翌年のチャンスを逃すことになります。

一方、一般レースではフライング後の影響が比較的軽いため、選手の負担は少ないものの、累積回数には注意が必要です。

フライングの累積回数による影響

オートレースでは、単発のフライングだけでなく、一定期間内に複数回フライングをすると、追加の罰則が科される仕組みになっています。
これにより、選手が頻繁にフライングを繰り返すことを防ぎ、公平なレースを維持することが目的とされています。

フライングの累積回数によるペナルティ

過去6か月間のフライング回数に応じて、以下のような罰則が科されます。

フライング回数	罰則内容
6か月間に5回	選手あっせん停止（一定期間レースに出場できない）
9回出場中2回	翌日のレースと後日1日出走停止

特に「選手あっせん停止」は、レースの出場自体が制限されるため、選手にとっては大きな影響を与えます。

なぜ累積回数が影響するのか？

フライングが頻発すると、公平なレースが成り立たなくなるためです。
また、観客にとっても、何度もスタートのやり直しが発生すると、レースの進行がスムーズでなくなり、興行としての質が下がる可能性があります。

そのため、レース運営側は、一定期間内のフライング回数を厳しく管理し、累積回数が多い選手には厳しい措置を取るようにしています。

累積回数を減らすための対策

選手は、以下の点に注意しながらフライングを防ぐことが求められます。

• スタートの感覚を養うための反復練習
• クラッチ操作の精度向上
• 精神的なプレッシャーを軽減するためのメンタルトレーニング

特に、グレードレースに出場する選手は、フライングが長期的なキャリアに影響を与える可能性があるため、慎重なスタートを心掛ける必要があります。

このように、オートレースではフライングの回数が一定基準を超えると厳しいペナルティが課されるため、選手は技術的にも精神的にも高い集中力を持ってスタートに臨むことが重要です。

フライングを防ぐための対策と選手の意識

選手がフライングを避けるための工夫

オートレースにおいてフライングは選手にとって大きなリスクとなります。
出走停止やレース不成立などの影響を避けるため、選手はさまざまな工夫を凝らしながらスタートを調整しています。

スタートのタイミングを正確に把握する

スタートの成功率を高めるため、選手は発走合図機のカウントダウンに細心の注意を払います。
特に、0秒の瞬間に確実に発進するため、以下の点を意識することが重要です。

• 発走合図機の動きに集中し、反応速度を高める練習を行う
• 事前の試走でマシンの動きを確認し、クラッチの反応を把握する
• 過去のフライング経験を振り返り、同じミスを繰り返さないようにする

このような対策により、フライングの発生率を減らすことが可能になります。

クラッチ操作の精度を上げる

フライングの原因の一つに、クラッチ操作のミスがあります。
クラッチを誤って離してしまうと、意図せず発進してしまうため、正確な操作が求められます。

選手は、以下の方法でクラッチ操作を改善します。

• スタート前にクラッチの握り具合を確認し、誤作動を防ぐ
• 実戦形式のスタート練習を繰り返し、無意識に正しい操作ができるようにする
• レース直前の精神状態を整え、緊張による誤動作を防ぐ

適切なクラッチ操作を身につけることで、フライングのリスクを大幅に減らすことができます。

精神的なプレッシャーをコントロールする

フライングを避けるためには、メンタル管理も重要です。
特に大きなレースでは、選手は緊張しやすく、焦りがフライングにつながることがあります。

精神的な安定を保つため、選手は以下の方法を取り入れています。

• レース前に深呼吸を行い、集中力を高める
• 過去のレース映像を見返し、成功したスタートの感覚を再確認する
• リラックスできるルーティンを作り、レース前の心を落ち着かせる

メンタルを整えることで、フライングのリスクを最小限に抑えることができます。

フライングが選手に及ぼす影響

フライングをすると、その選手にはさまざまな影響が及びます。
一度のフライングがキャリアや成績に響くこともあるため、選手にとっては避けるべきミスの一つです。

レース結果への影響

フライングをすると、レースの進行に影響が出るだけでなく、選手自身の成績にも大きく関わります。
フライングが発生した場合、次のような影響があります。

• 1回目のフライングでは再発走となり、レースをやり直すことになる
• 2回目のフライングで出走停止となり、そのレースの成績が無効になる
• 4回目のフライングが発生するとレース不成立となり、全車券が返還される

このように、フライングはレースの公平性だけでなく、選手の順位にも影響を与える可能性があります。

賞金や出場資格への影響

フライングが頻発すると、賞金や次のレースへの出場資格にも影響を及ぼします。

特に、SG（スーパーグレード）レースでフライングをすると、次節のレース出場が停止されるほか、翌年の同大会の出場権を失うこともあります。

また、フライングが多い選手はペナルティとして出走停止が課されるため、レースに出場できる機会が減り、結果として賞金の獲得チャンスも少なくなります。

精神的な影響

フライングをした選手は、その後のレースでスタートのプレッシャーを感じやすくなります。
特に2回目以降のフライングを経験すると、次のレースで慎重になりすぎて出遅れるリスクが高まります。

また、フライングによってチームやファンからの期待を裏切る形になると、モチベーションの低下につながることもあります。
このような精神的な影響も、選手にとっては無視できない要素です。

スタートの重要性と観客の期待

オートレースにおいて、スタートはレースの結果を大きく左右する重要な要素です。
また、観客にとっても、スタートの瞬間はレースの見どころの一つとなります。

スタートがレース結果に与える影響

オートレースでは、スタートの良し悪しがレース展開に大きく関係します。
特に、先行できるかどうかは、レースの勝敗を分ける重要なポイントとなります。

スタートの成否によって、以下のような影響が考えられます。

• 好スタートを切れば、レースを優位に進めることができる
• 出遅れると、前の選手を追い抜くのが難しくなる
• フライングを警戒しすぎると、慎重になりすぎて出遅れることがある

このように、スタートのタイミングは、選手にとって非常に重要な要素となります。

観客が期待するスタートの迫力

オートレースは、スピード感や迫力が魅力の競技です。
特にスタートの瞬間は、観客の注目が集まるポイントでもあります。

観客にとって理想的なスタートとは、以下のようなものです。

• 全選手がほぼ同時に発進し、スピード感のある展開になる
• 接戦が繰り広げられることで、レースがより白熱する
• フライングや出遅れがなく、公平なレースが行われる

スタートがスムーズに決まると、観客の満足度も高まり、レース全体の盛り上がりにつながります。

フェアなスタートを求めるルールの重要性

フライングや後方スタートが頻発すると、レースの公平性が損なわれてしまいます。
そのため、厳格なルールが設けられ、フライングを防ぐためのシステムが導入されています。

また、選手にとっても、観客の期待に応えるためには、正確でスムーズなスタートが求められます。
そのため、日々の練習を通じて、スタート技術の向上に努めることが重要です。

このように、スタートは選手にとっても観客にとっても大切な要素であり、レースの魅力を左右する大きなポイントとなっています。

まとめ

オートレースにおけるフライングは、スタート合図前に発進することで発生します。
スタート方式は発走合図機を使用し、フライングは赤外線センサーや審判の目視で判定されます。

フライングが発生すると、1回目は再発走となりますが、2回目で出走停止、4回目でレース不成立となります。
特にSGレースの優勝戦では、翌年の同大会の出場資格を失うなど、厳しいペナルティが科される場合もあります。

選手はスタート技術の向上やクラッチ操作の精度を高めることで、フライングを防ぐ工夫をしています。
また、観客にとってもスムーズなスタートはレースの魅力を高める要素であり、公平な競技運営のためにも正確なスタートが求められます。